親知らずについて
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「親知らず」とは?

親知らずは、18歳以降に生えてくる前から8番目の歯(一番奥の大臼歯)です。一説では、親が知ることなく生える歯であったことから「親知らず」と呼ばれるようになったともいわれています。また、「智歯(ちし)」という呼び方もあります。
先天的に親知らずが生えてこない方や、1本だけないといった方もいらっしゃいます。親知らずはあるのだけれど、歯ぐきの中に埋もれていて本人が自覚されていないことも多々あります。親知らずを放置すると、さらに痛みが増したり、むし歯や歯周病の原因となることもあるので、異変を感じたら診察を受けるようにしましょう。
現代人は顎が小さくなっている?
原始人は、4本すべての親知らずが生えそろっていたといわれています。しかし、人類が狩猟採集から農耕社会へ移行し、食生活が変化したことで、より柔らかく加工された食品が主流となり、強い咀嚼力を必要とする必要が少なくなったため、親知らずが必要なくなったと考えられています。
また、現代人の歯列は進化によって小さくなりました。親知らずが生えるのに十分なスペースがなければ、正常に生えてくるのは難しいと考えられるでしょう。
以上の要因が複合的に作用した結果、現代人の歯の構造が進化し、現代では、親知らずがすべて生えそろっている人の割合は、4割程度といわれています。
親知らずは
抜く必要があるの?
親知らずが上下とも顎に直立して生えており、かみ合っている、痛みや炎症など何もないという場合は、そのままでも問題ありません。
また、逆に埋まっていても炎症がない場合は、必ずしもすぐに抜く必要はありません。
しかし、親知らずが生えるための十分なスペースがなく、歯が傾いて生えてきたために、前の歯にぶつかって中途半端な状態で止まってしまうケースが多々あります。歯が一部分だけ見えて止まっているようなケースでは歯の周りが細菌のたまり場になります。こういった状態を放置すると歯肉の炎症「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」を起こしやすい状態となってしまいます。親知らずの前の歯にむし歯ができてしまう場合や、炎症をくり返しているような場合は、たとえ現在は痛みがなくても抜いたほうが良いと判断します。
また、上の親知らずの場合は生えてきたものの、下の歯とかみ合わず、頬や喉の粘膜を傷つけるようになることもよく見られ、この場合は抜く必要があります。
それから、歯の矯正をされている場合は歯並びに悪影響を与える場合がありますので、抜歯が必要になることが多いです。親知らずの大部分が骨の中に埋まっていたり、歯の根っこの形が複雑だったりすると、歯肉を切開したり、骨や歯を削ったりするため抜歯するのにもかなりの注意と手間が必要となります。なお、親知らずの状態や患者様の持病の有無によって、入院や全身麻酔下での管理が必要となる場合もあります。さらに、埋まっていて自覚症状がない状態でも親知らずの周りに嚢胞(のうほう)というふくろ状の良性腫瘍ができることがまれにあります。
ご心配な方は一度、検診とともにエックス線写真検査の受診をお勧めいたします。
親知らずを抜いた方がいいケース

- 親知らず自体あるいは手前の歯がむし歯になってしまった
- 横向きに埋まっていて、健康な前方の歯に障害を及ぼしている
- 親知らずが隣の歯を押して歯並びやかみ合わせに影響が出ている
- いつも食べ物がつまる、歯肉の腫れ、痛みを繰り返している
- 歯科医療が整っていない国に長期間行く場合
など
本多歯科医院の
安心・安全な親知らず治療

親知らずの生えかたには個人差があり、下顎の親知らずの近くには下歯槽神経といった神経があるなど、様々な条件が複合しているため、患者様によって治療方法が異なります。当院では、安全に抜歯を行うためしっかりと患者様の口腔状態を精密検査したうえで、患者様に合わせた治療プランを作成いたします。
また、埋まっている下の親知らずを抜くためには、親知らずを覆っている歯ぐきを切って親知らずの周りの骨を削り、親知らずの頭の部分を分割して歯を細かくして抜きます。このような場合は、抜くのが非常に困難なケースもあるため、歯科口腔外科のトレーニングを受けた歯科医師に抜いてもらうことをおすすめいたします。当院の院長は、歯科口腔外科に歯科医師として勤務していた経験もあり、親知らずの抜歯を得意としていますので、抜歯の痛みや処置方法にお悩みの方は、ぜひご相談ください。膿疱がある場合の治療も可能です。局所的な炎症が強い場合や特殊なケースを除いて、ご希望であれば初診当日に抜歯をすることが可能です。
また、治療に使用した器具は徹底した滅菌処理を行い、医療機関用空気清浄装置や空気清浄機で空気循環を促すなど、感染対策も徹底しております。患者さまに、少しでもリラックスして治療を受けてもらえるような環境を整えておりますので、安心してご来院ください。
抜歯後に気を付けること
1.抜歯後は処方された抗生剤、痛み止めを服用する
抜歯後は抗生剤と痛み止めを処方するので服用してください。抗生剤は必ず処方された全てを服用するようにしてください。
抜歯後は麻酔が切れると痛みが出てきますが、痛みが出てから痛み止めを服用すると効くまでに時間がかかるので、麻酔が切れる前に痛み止めを初回服用することをおすすめします。
2.抜歯当日は安静に過ごす
抜歯後は出血した血液が固まるまでは、安静に過ごしましょう。
血行を促進する運動や長時間の入浴、アルコールの摂取は控えましょう。
3.抜いた部位は触らない
抜歯した部分に舌や食べ物、水などで触れないようにできる限り気をつけてください。
血餅を剥がしてしまうと治りが遅くなるほか、細菌に感染してしまう恐れがあります。
4.出血が止まらなければご連絡ください
硬く折りたたんだガーゼや丸めたティッシュなどで抜歯した箇所に乗せて噛み、圧迫させると、出血が止まる場合があります。それでも長時間出血が止まらない場合は当院にご連絡ください。
合併症について
親知らずの抜歯に伴う合併症には腫れ、痛み、出血といった外科処置につきものの症状の他に、オトガイ神経障害と舌神経障害があります。
オトガイ神経障害
下顎の親知らずの根の先の方の骨の中に下歯槽管という神経と血管の通り道があります。
親知らずがこの下歯槽管に近接している場合、抜歯後に1%程度の確率でオトガイ神経障害が生じることがあります。
オトガイ神経障害を発症すると、抜いた側の下唇からあごの先の方にかけての感覚が鈍くなります。また、びりびりした感じが出ることもあります。
舌神経障害
下の親知らずの内側の粘膜の中を舌神経が走っており、抜歯時に傷つける可能性があります。発症頻度は1%以下ですので滅多にありませんが、発症すると抜いた側の舌の感覚が鈍くなります。
万が一、神経障害が発症した場合は、神経の改善を促進する薬を飲んでいただきながら経過をみることになります。
多くの場合は2~3か月程度で治癒しますが中には難治性となることもあります。
抜歯後の注意事項
- 帰宅後に出血した場合、唾液に少し血が混じる程度なら心配ありませんが、血がどんどん流れ出てくるような場合は清潔なガーゼ(ティッシュペーパーや脱脂綿ではなく、ガーゼがおすすめです)をしっかり20分程度かんでください。それでも出血が続く場合はご連絡ください。
- 抜歯当日はうがいをしないでください。頻繁につばを吐いたり、歯を抜いた部位に刺激を加えたりすると再出血の原因になります。うがい薬は翌日から使用してください。
- 歯を抜いたことによってできた穴は、1か月から2か月くらいかけて徐々に盛り上がってふさがります。抜歯翌日からは、食べかすがつまったままにならないように食後にしっかりうがいをしてください。
- 麻酔は1時間から3時間(使用量や注射部位で異なります)程度で切れます。麻酔が効いている間の飲食は避けてください。頬や唇、舌をかむ原因になります。麻酔が切れたら食事をしていただいて構いません。
- 痛み止めは、麻酔が切れ始めの頃にあらかじめ1回分を飲んでおくことをおすすめします。
- 当日の飲酒、長時間の入浴や激しい運動は控えてください。腫れや痛みがひどくなったり、出血する原因になります。また、腫れや痛みが残っている間は飲酒や激しい運動を控えてください。
- 数日間、喫煙は控えてください。傷が治癒するまでの時間が長くなる原因になります。
- 処方された薬は用法、用量を守って正しく服用してください。万が一、じんま疹や下痢など、副作用が出現した場合は服用を中止してご連絡ください。
- 腫れや痛みが強い場合は氷水でしぼったタオルなどで顔の外から軽く冷やしてください。